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個人事業主として事業を営んでいる方の多くは、一度は法人化を考えたことがあるかと思います。
個人事業主が会社を設立すると、様々なメリットが得られます。
一方でメリットだけでなくデメリットも発生するので、会社設立を検討する際はメリット・デメリットの両方を十分に理解しておくことが大切です。
個人事業を法人化するメリットとしてまず挙げられるのは、事業の信用度が高まることです。
事業を営んでいく上で信用は非常に重要な要素となりますが、法人化すれば信用度が高まってこれまで仕事が受けられなかった企業から受注できる可能性が高まります。
加えて、金融機関からの信用度も高まって融資が受けやすくなるので、金融機関からの融資を希望するのであれば株式会社や合同会社の設立を検討することをおすすめします。
また、節税につながる可能性があるのもメリットのひとつです。
個人事業の場合、事業所得に対する所得税の最高税率は45%となっていますが、法人税の税率は一定の所得までは15%、それ以外の場合でも20%前半となっています。
そのため、一定以上の所得があるケースでは税負担を軽減することが可能です。
また、個人事業主が株式会社や合同会社を設立すると、自身の給与に給与所得控除を適用することが可能となります。
会社員の場合、給与所得控除によって一定額が差し引かれた後の収入に対して所得税がかかりますが、個人事業主の場合は売上から経費を差し引いた後の利益に対して所得税がかかります。
しかし、株式会社や合同会社を設立して自身が社長となって役員報酬を支給すれば、給与所得控除を適用させることが可能です。
これにより、所得税を節税できる可能性があります。
加えて、個人事業の場合、原則として生命保険料などの保険料を経費として処理することができず、確定申告の際にわずかな生命保険料控除を受けることしかできません。
一方で、保険の種類にもよりますが、会社を設立した上で生命保険に加入すれば保険料の半額から全額を経費処理することができます。
さらに、消費税の納税義務は2年前の売上高が基準となるため、新会社を設立した年と翌年は消費税が免除されます。
新会社設立時の資本金が1,000万円未満、第1期上半期課税売上高を1,000万以下かつ人件費を1,000万以下に抑える、個人事業時代の売上高が5億円以下、という条件を満たしている必要があるものの消費税が2年間にわたって免除されれば大きな節税効果を得ることが可能です。
以上が個人事業を法人化する代表的なメリットとなりますが、会社を設立するには手間も費用もかかります。
新会社を設立するためには、登記申請・定款作成・代表印の準備・印鑑証明書の取得といった手続きや作業が発生しますし、設立後も会計や税務といった事務作業の負担がかかります。
特に、法人税申告書は確定申告書よりも専門性が高く作成するのが難しいため、税理士に作成を依頼するのが一般的ですが、そのコストは年間に30万円以上かかると考えておきましょう。
加えて、新会社を設立する場合、株式会社では20万円以上、合同会社では10万円以上かかるので、その費用を用意しておく必要もあります。
また、個人事業では収支が赤字だった場合、所得税や住民税が発生しませんが、会社を設立した場合はたとえ赤字であったとしても毎年7万円の住民税が発生します。
そのため、赤字体質の事業の場合は会社設立を慎重に判断することが重要です。
さらに、社会保険への加入が必須になるというデメリットもあります。
個人事業の場合、常時雇用している従業員数が5名以下であれば社会保険への加入は任意となっていますが、会社を設立した場合は社会保険へ必ず加入しなければなりません。
これにより、保険料の支払い負担が増加することになるので注意が必要です。